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上海外灘のイルミネーションを在住者がご案内!各歴史的ビルの詳細ガイドも!
上海を訪れるからには外灘のイルミネーションを見ない手はありません。歴史ある建築群が黄金色にライトアップされ幻想的な姿となります。上海一の観光地と言えば外灘であり、外灘の昼と夜景のいずれを見るべきかと問われれば自信をもってイルミネーションを楽しめる夜をお勧めします。
この記事に登場する専門家
旅するライター兼歴史を語る作家
九太郎
上海外灘のイルミネーションを楽しもう
こんばんは!上海に16年以上にわたって住み、日本からの中国出張者たちの観光案内を繰り返したわたくし九太郎が、上海外灘のイルミネーションについてご紹介していきます。
外灘(ワイタン)は、上海の中心部を南北に貫く黄浦江と西から流れてきて黄浦江に流れ込む蘇州河の合流地点から南の金陵路までの黄浦江西岸のことをいいます。租界時代にはThe Bundと呼ばれ、上海の中心地であり、世界経済の重要拠点のひとつでした。今も当時の建物が多数残っており、租界時代の上海の空気を感じることができる場所です。
外灘の建物は、季節にもよりますが、毎晩7時頃から10時頃までライトアップされ、美しいイルミネーションを堪能することができます。また、黄浦江を隔てて向こう側の上海浦東新区陸家嘴エリアに林立する現代的摩天楼群の夜景もきれいで、古い上海と最新の上海の両方を一度に楽しむことができます。
上海外灘のイルミネーションの巡り方
外灘のイルミネーションの楽しみ方は、例えば外灘の南側の中山東一路と延安東路の交差点あたりからスタートするならば、まず北に向かって中山東一路の左側を歩きましょう。外灘3号、外灘5号など中に入ることができる建物については建物内部の様子も見ながら、外灘北端の外白渡橋まで行きます。そこでUターンし、中山東一路の対岸に渡って黄浦江沿いの公園を歩いて南に向かい、外灘と浦東新区陸家嘴の両方の夜景を楽しみつつスタート地点に戻ります。外灘を端から端まで歩くだけなら20分ほどなので、途中見物しながらゆっくりと歩いて1時間半ほどの行程です。
外灘のイルミネーションを離れたところから一望したいという人は黄浦江を隔てて対岸の浦東新区陸家嘴に渡りましょう。外灘から浦東新区陸家嘴への行き方は、南京東路を西に500mほど歩いて南京東路站から地下鉄1号線に乗って陸家嘴站で降りるのが一般的です。
外灘と浦東新区陸家嘴を結ぶ観光トンネルを利用することもできます。外灘側の入り口は中山東一路と南京東路の交差点の黄浦江側にあります。チケット購入後、改札を越え、長いエスカレーターを下りていくと10人程度が乗れる無人運行の乗り物が待っており、それに乗ってトンネルを抜けていきます。全長647mのトンネル内部はきらきら光る電飾が施されており、5分ほどで東方明珠タワーのすぐそばに到着します。ただし片道50元(約800円)と、地下鉄の10倍以上の運賃が必要であり、車窓から夜景が見えるわけでもないので、往復乗るほどのものではありません。
遊覧船に乗って黄浦江の上から外灘や浦東新区陸家嘴の夜景を楽しむこともできます。乗り場や所要時間、船の設備等の異なる多くのクルーズがありますが、一般的に利用されるのは中山東二路の十六舗埠頭を起点とする50分のクルーズです。十六舗を出た船は北上し、揚浦大橋まで行きUターンして出発地点に戻ります。11:00〜21:30の間に15〜30分の間隔で運航されています。料金は食事・飲み物なしで120元(約1,800円)。チケットは事前予約もできますが、通常十六舗で当日に買うことができます。その場ですぐに乗船できることも少なくありません。
ぜひ船上から夜景を見たいけれども、遊覧船に乗るほどの時間がないというような人には、外灘と浦東新区陸家嘴のあいだを結んでいるフェリーに乗るという方法もあります。元来観光用ではなく上海で生活する人々の足として運航されており、それゆえ運賃も2元(約30円)と低料金ですが、いつでも多数の観光客が利用しています。外灘側の乗り場は金陵東路と中山東二路の交差点のそば。浦東新区陸家嘴のやや南側の東昌路渡口に到着するので、下船してから東方明珠タワーなどがある陸家嘴中心地までは歩いて20分ほどかかります。
外灘のイルミネーション〜ウォルドーフ・アストリア上海オン・ザ・バンド/旧上海クラブ
ウォルドーフ・アストリア上海オン・ザ・バンド(上海外灘華爾道夫酒店)の建物は、中国解放前は在上海イギリス人の社交組織である「上海クラブ」でした。当時はレストランやバー、チェスルーム、シガールーム、宿泊施設などがありました。内装は日本人建築家の下田菊太郎によりますが、調度品の多くはイギリスから輸入した最高級品でした。イギリスから直輸入されたエレベーターはいまもロビー横にあり当時を偲ぶことができます。
この建物に外灘側から入ってすぐ左側に「ロング・バー」というバーがあり、かつて東洋一の長さを誇ったカウンターやその他の内装が当時の写真などをもとに再現されています。
外灘のイルミネーション〜外灘3号/旧ユニオン・アシュアランス
1916年竣工のユニオン・アシュアランス社だったビルです。建築様式はネオ・バロックですが、縦方向の線が強調されておりアール・デコ様式の一歩手前のスタイルです。現在は外灘3号(スリー・オン・ザ・バンド)という名称の複合商業施設となっており、外灘の夜景も楽しめるレストランやバー、スパなどが入居しています。
外灘のイルミネーション〜外灘5号/旧日清汽船上海支店
1921年に日本の国策会社だった日清汽船の上海支店として建てられたビルです。英国古典主義様式で、現在はカフェレストラン「エム・オン・ザ・バンド」やスパなどが入居しています。
外灘のイルミネーション〜浦東発展銀行/旧香港上海銀行上海支店
1923年竣工で香港上海銀行が置かれていました。建築様式は英国エドワーディアン・バロックの流れを汲む新古典主義建築。戦後は上海市人民政府がここに置かれましたが、上海市人民政府はのちに現在の人民広場に移転し、現在は浦東発展銀行がここに入っています。
外灘のイルミネーション〜上海海関/旧江海関
1925年に建築されたときと同様、現在も税関が使用している建物です。建築様式は古典様式からモダニズムへの過渡期にあります。この建物の時計台とそれが毎時奏でるウェストミンスター・チャイムは上海のシンボル的存在です。
外灘のイルミネーション〜和平飯店/旧サッスーン・ハウス
緑色の三角屋根が特徴的な和平飯店北楼は1929年竣工の建物です。かつてはサッスーン財閥の拠点であったため「サッスーン・ハウス」と呼ばれ、1〜3階は銀行や商店、4階は事務室、5〜10階は最高級ホテルの「キャセイ・ホテル」、11階はサッスーン財閥当主の自室がありました。典型的なアール・デコ様式の建物です。
上の写真は現和平飯店北楼のロビーです。ロビー奥には租界時代の雰囲気が残るバーがあり、そこでグラス片手に老人プレーヤーたちのオールド・ジャズに耳を傾ければ魔都上海にタイム・スリップすることができます。
外灘のイルミネーション〜中国工商銀行/旧横浜正金銀行上海支店
横浜正金銀行(戦前の日本の貿易金融・外国為替業務特化の特殊銀行)が租界上海の建物の設計を多数手掛けたパーマ&ターナー設計事務所に依頼し1924年に竣工した建物です。イオニア式の支柱が特徴的です。現在は中国工商銀行上海支店が入っています。
外灘のイルミネーション〜ペニンシュラ・ホテル/旧英国総領事館
外灘のほぼ北端には広大な敷地を有するペニンシュラ・ホテルがあります。同敷地内に建つ写真の建物は中国解放前は英国総領事館でした。英国総領事館は南京条約(1842年)による上海開港のときにここに開設されましたが、その建物は既に焼失し、現在の建物は2代目のものです。1870年代の竣工で、外灘で最も古い唯一の19世紀の建物です。
外灘のイルミネーション〜外白渡橋/旧ガーデンブリッジ
蘇州河に架かる鉄橋です。この位置に架かる鉄橋としては4代目で、1907年末に完工しました。上海租界時代にはガーデンブリッジと呼ばれ、外灘の北端に位置するので、この橋を北から南へと渡ると街の雰囲気がガラリと変わったといいます。日中戦争期は橋の北側の虹口エリアは日本が支配していたことから橋のたもとに日本軍の歩哨が立ち人や車の通行を監視していました。現代は日没後に様々な色に変化するLEDライトで幻想的にライトアップされます。
上海のその他の場所のイルミネーション
上海には外灘のほかにも、南京東路、浦東新区陸家嘴、新天地、豫園など夜景が美しい場所があります。外灘のイルミネーションを楽しんだあとにそのまま足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。外灘から南京東路まで徒歩で10分ほどで、南京東路站から陸家嘴站へは地下鉄1号線で1駅、新天地站へは地下鉄10号線で3駅、豫園站へは同じく地下鉄10号線で1駅と、簡単に行くことができます。
南京東路
和平飯店のところから西に向かって延びる南京東路は河南中路との交差点より西側が車両進入禁止の遊歩道となっています。沿道の商店の明かりや色とりどりの看板が賑やかなショッピング・ストリートです。
浦東新区陸家嘴
外灘から黄浦江を隔てて対岸の浦東新区陸家嘴エリアは中国の金融・貿易の中心地であり、高層ビルや上海のシンボル東方明珠タワーなどが林立しています。外灘のクラシカルで低層の建築群とは対照的な現代的で立体的な夜景を楽しむことができます。
新天地
上海の典型的近代建築である石庫門を改造して造られたショッピング・エリア、新天地。夜はきらびやかなイルミネーションで彩られます。クリスマス・シーズンには大きなクリスマス・ツリーも飾られます。
豫園
明代の庭園、豫園の周囲は豫園商城と呼ばれ、多数の土産物店や飲食店等商店が軒を並べるエリアです。夜は様々なイルミネーションで飾られ、租界時代の繁栄を感じさせる外灘や現代の経済発展の象徴である浦東新区陸家嘴とは趣の異なる昔ながらの庶民的な上海の光景に出会うことができます。
上海外灘のイルミネーションを楽しむことができるレストランなど
上で紹介した外灘3号と外灘5号、および中山東一路の18号や27号のビルにはテラスで、もしくは窓越しに、食事やお酒を飲みながらイルミネーションを楽しむことができるレストランやバーが多数あります。和平飯店やウォルドーフ・アストリア上海オン・ザ・バンドなどのホテルにも夜景のきれいな店があります。夜は混んでいることが多いので事前に予約をして行きましょう。
外灘3号と外灘5号にはそれぞれスパがあり、施術ルームから外灘のイルミネーションを望むこともできます。
浦東新区陸家嘴の黄浦江岸の濱江公園にはドイツビアレストランやスターバックスなど、いくつかのレストランやカフェがあり、そこからは黄浦江越しに外灘のイルミネーションを楽しむことができます。また、浦東新区陸家嘴の高層ホテル(パークハイアット、リッツカールトン、シャングリ・ラ)のレストラン、バーでは高い位置から見下ろす壮大な夜景を堪能できます。
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上海外灘のイルミネーションを楽しむために旅行前に読んでおきたい書籍
外灘の夜景を見に行く前に読んでおけば、租界時代の歴史的建築群のイルミネーションを2倍楽しめる書籍を3冊ご紹介します。
カレンシー・レボリューション (小説集)
価格:¥1,944
租界時代の外灘はアジアの金融の中心地でした。本書には租界時代の金融に関連した小説が3本収録されており、日中の金融関連の実在の人物をモデルにした登場人物たちが、外灘の各建物を舞台にして、手に汗にぎる物語を繰り広げます。
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上海外灘のイルミネーションは絶対オススメです
外灘は北端の蘇州河から南端の金陵東路まで1kmほどであり、十分歩いて見て回ることができます。建築群は租界時代の頃とほとんど変わらず、建物の内部も、階段や壁の装飾、天井から下がるシャンデリアなどが、ほぼそのまま残されています。のんびりと歩きながら、内部に入ることができる建物については足を踏み入れてみて、ぜひ90年ほどタイムスリップした気分になって、租界時代のアジアの経済の中心地を闊歩する自分を想像しながら散策してみてください。