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シベリア鉄道で行くロシア横断の旅〜予約方法から安全性まで徹底解説!
世界最大の国ロシアでは、シベリア鉄道が国土を横断しています。利用してみたいけれど、安全性や衛生面が気になるという方も多いのではないでしょうか。この記事では、シベリア鉄道で実際にロシアを横断した筆者がシベリア鉄道の予約方法から車内の過ごし方まで解説します。
この記事に登場する専門家
女性ソロトラベラー
あずさ
ロシアってどんな国?
こんにちは!現在バルト三国を旅しているソロトラベラーのあずさです。
私は2019年8月、まるまる1ヶ月かけ、シベリア鉄道を使ってロシア横断の旅をしました。
この旅をする前は、私はロシアに対して「プーチン」「マッチョ」「クマ」などなど勝手なイメージを持っていました。しかし、ロシア旅行を終え、そのイメージは崩れ去りました。
ロシアって、一言で「これがロシア」って言い表せないくらい、多様性溢れる国なんです。
シベリア鉄道についてご紹介する前に、少しロシアがどんな国なのか、改めてご説明したいと思います。
世界最大の面積を誇るロシア。その国土は、地球上の居住可能地域の8分の1を占めており、東から西に広がっているため11の標準時を持っています。
ロシアは85の地方行政体からなる連邦国家。
地方行政体のうち、少数民族による自治が行われているものは共和国という区分で分けられており、現在ウクライナと帰属係争中のクリミア共和国を含め、22の共和国が存在しています。
このように、ロシアは多民族国家で、182もの民族が存在しているそう。チュルク系民族やコーカサス系民族、ウラル系民族、モンゴル系民族など多様な人々が住んでいます。
また、ロシア語以外に各共和国の公用語として26の言語があり、宗教もロシア正教会だけでなくカトリックやプロテスタント、ユダヤ教、さらには仏教やイスラム教、ネオペイガニズム、テングリ、仏教、ヒンドゥー教・・・などなど、多様です。
ロシアが一言で言い表すことができないことを知っていただけたでしょうか。
さて、これを踏まえた上でシベリア鉄道の旅についてまとめていこうと思います。
そもそもシベリア鉄道って?
シベリア鉄道は、ロシアを貫く世界最長の鉄道。その全長は約9,200kmにも及びます。
1,850年代から計画され、1,916年に現在のルートが開通しました。
シベリア鉄道にはモスクワ・ウラジオストクを結ぶ路線の他に、モスクワ・北京をウランバートル経由で結ぶ路線、中国東北部経由で結ぶ路線の3種類があります。
乗車中、隣にウランバートルとモスクワを結ぶ車両が停車しているのを見ることができました。
シベリア鉄道はロシア国内の重要な輸出路であるだけでなく、アジアとヨーロッパを結ぶ交通路の一つ。今後も延伸や高速鉄道化が計画されているようです。
e-チケットでスムーズ!〜シベリア鉄道の予約から乗車まで
ネットで簡単!シベリア鉄道の予約方法
ロシアの鉄道のチケットは、ロシア国鉄のWebサイトで事前に購入することが可能です。
アカウントを登録後、区間、車両クラス、席を選択し、必要情報を入力。最後にカード情報を入力して決済、という、いつものネットショッピングとなんら変わらない手順で購入することができます。
購入したチケットは、ロシア国鉄のサイトでいつでもチェックすることができます。
ロシア国鉄のWebサイトでは乗車券のPDFをダウンロードできるので、印刷するか、スマホに保存しておきましょう。
私は乗車の半月ほど前に購入し(3等車を利用)、
- ウラジオストク〜イルクーツク 7414ルーブル(約12,000円)
- イルクーツク〜ノボシビルスク 3367ルーブル(約5,500円)
- ノボシビルスク〜モスクワ 6202ルーブル(約10,000円)
と、27,500円で極東からヨーロッパへ移動することができました。
もっと早く購入すればもっと安くロシアを横断することができますよ。
もちろん、駅のチケットカウンターで列車のチケットを購入することも可能ですが、長距離路線のチケットは日程が近づくにつれ値上がりしていくので、旅程を決めたら早めに購入しましょう。
e-チケットを見せるだけ!シベリア鉄道の乗車方法
ロシアの鉄道の駅は、改札口がなく、誰でもホームに入ることができるスタイル。
乗車前に、自分の乗る車両の前まで行き、乗務員さんにチケットとパスポートを見せて乗車します。この際、チケットを印刷していなくてもOK。その場合はスマホなどに保存してあるe-チケットを見せましょう。
自分の乗る車両番号は、チケットの「Вагон」の欄に書いてあります。
乗車後、「Место」という欄に書かれた席番号のところへ座ります。
発車後、紙のチケットを持っていれば乗務員さんが回収しに来ます。
とってもシンプルで簡単ですよね。分からないことがあれば、その辺の人が親切に教えてくれるでしょう。
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シベリア鉄道の車両クラスについて
ロシアの鉄道には、1等車、2等車、3等車の3種類の車両クラスがあります。
1等車は2人部屋、2等車は4人部屋、3等車は開放寝台。
開放寝台とは、上の写真のように、コンパートメントに扉がないタイプの車両。
値段は一番リーズナブルで、家族連れやカップル、旅人まで、様々な人が乗っていました。
筆者は3等車に乗りましたが、様々な人と交流できて楽しかったです。
では、それぞれの車両の中がどのようになっているのか、解説していこうと思います。
【3等車】座席について
3等車の席は、4人席の上下、廊下側の席の上下で分かれています。
筆者のお勧めは4人席の下段。テーブルは自由に使えるし、荷物はいつでも取り出せるし、いつでも寝転がることができて快適でした。
上段は空間が狭く、自分の空間がいつでもあるのは良いのですが飲み食いするにも下に降りていかなければならず、少しきついな〜と思いました。
廊下側の席は、下段をベッドにする際にテーブルをしまいます。そのため、寝転がりたいときに一度テーブルをしまって、マットやシーツを準備して・・・と一手間かかるので面倒でした。
席によって値段が変わってくるので、予算に合わせて席を決めてみてくださいね。
【2等車】車両について
3等車が開放寝台(コンパートメントの扉がないタイプ)なのに対し、2等車では扉がついておりプライバシーが確保されるようになっています。
それぞれのコンパートメントには4つの席があります。その他の設備は3等車と同じです。
【1等車】車両について
1等車は最も快適な車両。その分値段もかなり高いです。
それぞれのコンパートメントには2つしか席がなく、2等車や3等車のように上段の人と下段の人が日中席をシェアしなくても良いようになっています。
車両によってはプライベートバスルームがついているものもあるそう。いつかそんな豪華な旅もしてみたいですね・・・。
シベリア鉄道の衛生面
①トイレについて
私の乗ったほとんどの車両では、「バイオトイレ」が設置されていました。
また、頻繁に乗務員さんが清掃してくれるので清潔感が保たれていました。
トイレットペーパーは常備されています。
また、トイレには洗面台があり、歯磨きや洗顔を快適にすることができます。人によっては髪の毛を洗っている人もいました。ウラジオストクからモスクワまで、途中下車せずに行くと6日間かかります。6日間シャワーなしできつい、という方は、頑張ればシャンプーできますのでご心配なく。
「バイオトイレ」のない古い車両では垂れ流し式のトイレが設置されており、その場合、駅付近になるとトイレに鍵がかけられ使うことができなくなります。
バイオトイレか否かはチケット購入時に選択することができます。
②ベッドについて
一人一セット、クリーニング済みの枕カバー、ベッドカバー、シーツ、小さいタオルが貸し出されるので、清潔感もあり快適でした。
ただ下段の席の方は、近くの席の人がベッドメイキング済みのベッドに勝手に座る可能性も(上段の人は座るところがないので、下段に座ります)。その人たちが食べ物を食べ、知らないうちに綺麗なシーツの上にインスタントラーメンの粉や汁が飛び散っていた、なんてことも・・・。きになる方は、こまめにベッドを片付けたり、シーツだけ端に寄せておくといいかもしれません。
シベリア鉄道の快適性
①空調設備について
チケット購入時、空調設備の有無を選択することが可能です。
筆者はシベリア鉄道以外の路線で古い車両にあたり、その際空調設備はありませんでした。夏でも真夜中は肌寒く、真夏や真冬などは厳しそう・・・できる限り、空調設備が付いている車両を選んだ方が良いと思われます。
②通信環境について
シベリア鉄道の車内では、通信環境がなく(大自然の中を走るため、ほとんどの場所で圏外になります)やることがありません。
そのため、「何かやってないと気が済まない・・・!」という人はきついかも。
その代わり、本を読んだり(筆者はKindleを持って行きました)、他の人とおしゃべりしたり、人によってはクロスワードパズルを解いたり刺繍をしている人もいました。
私は、朝起きてご飯を食べ(持参したパンとチーズ)、本を読んで、眠くなったら寝て、というサイクルを繰り返し、いつもよりゆったりできました。
③飲食について
車内では、このようなコップやスプーンを借りることができます。
給湯器もあるので、いつでも暖かい紅茶や持参したインスタント食品を食べることができます。
少し料金は高いですが、車内販売や食堂車もあります。乗務員さんが時々歩きながらピロシキを売っていて、その匂いがたまらなく美味しそうでした・・・。
また、停車駅のホームでも売店があったり、地元の人が野菜を売っていたり。食べ物や水の心配はしなくても良いでしょう。
④停車駅について
シベリア鉄道に乗車中、ずっと車両から出られないわけではありません。
1時間程度停車する駅もあるので、駅の外をぶらぶらしたり、売店やスーパーで買い物をすることができます。
⑤時刻について
シベリア鉄道は、基本、定刻運行しています。
どこかの国のように、列車が来なくて駅で何時間も待たされたり、乗車当日運休になると言われて翌日の列車に振り替えなければならなかったり・・・なんてことはほぼないと思って良いでしょう。表示や構内放送はロシア語だけのこともあるので、何か疑問に思えば他の人に聞いてみましょう。皆親切に教えてくれますよ。
シベリア鉄道の安全性
シベリア鉄道の車内は、見知らぬ他人同士が何日間も一緒に過ごす場。
安全性は大丈夫?と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
確かに、その辺に貴重品を置きっぱなしにしていたら、盗難の危険性はあります。
実際、私の知り合いの外国人旅行者はスマホを盗まれたとのこと。
しかし、いつも通り貴重品は常に身につける、など気をつけていれば危険性はグッと低くなります。実際、周りのロシア人旅行者は貴重品は常に身につけて行動していました。
また、頻繁に警察官が見回りに来ます。
夜間、スマホとKindleをテーブルに出しっぱなしにしていたら、警察官に、見えないところにしまえ、と注意されました。。
何日間も同じ場所で過ごしていると、環境に慣れてきて、注意が散漫になってしまうもの。最低限の注意は払うようにしましょうね。
シベリア鉄道の旅の魅力
私は、8月まるまる1ヶ月使った旅のうち、8日間ほどを列車の中で過ごしました。
Google翻訳を使いながら周りのロシア人と交流したり(多くのロシア人は英語を話しません。Google翻訳にロシア語をダウンロードしておきましょう)、白樺の森や美しい河川、広大な草原など、美しい自然を眺めたり。
乗客の中には、金髪で欧米人の顔立ちをしている人から、モンゴル系の顔立ちをしている人まで様々な人が乗っています。別の民族だけど、皆同じようにロシア語を使ってコミュニケーションをとっている。ロシアの多様性を実感しました。
また、列車に乗っていると、どんどん時刻が遅くなって、日本から遠ざかっていることを感じられます。また、寝て目を覚ますと生えている木や景色が少しずつ変わっていきます。世界の広さを、体感することができました。
地球の外周はおよそ40,000km。シベリア鉄道の長さはおよそ9,200kmなので、地球の外周の約4分の1を列車に乗って移動することになります(※ウラジオストク・モスクワ間は7,416km)。こんなスケールの大きい経験、なかなかできないんじゃないでしょうか。
快適性も昔に比べどんどんと改善され、高速化の構想もあるシベリア鉄道。だんだんと敷居が低くなってきているので、ぜひ、いつか皆さんにも体験してみてほしいと思います。
きっと、世界に対する見方が少し変わるはずですよ。
筆者、あずさの2018年12月からの世界一周旅行の記録。
半年間で東南アジア、南アジア、西アジア、バルカン半島、東欧、北欧を巡りました。
現在1ヶ月に渡るロシア横断の旅を終え、バルト三国を巡っています。
ロシアの情報も今後どんどんと更新していきますので、チェックしていただけたら嬉しいです!
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