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地下鉄なのにまるで宮殿!モスクワメトロの乗り方・料金と歴史を経験者が解説!
総延長346kmと世界第6位を誇るモスクワメトロ(東京は第8位)。地下深くに建設された地下鉄は、核戦争の際のシェルターとしての機能もあると言われています。今回は、地下宮殿とも言われるモスクワメトロの魅力と観光でぜひ訪れて欲しい駅をまとめます。
この記事に登場する専門家
女性ソロトラベラー
あずさ
モスクワメトロとは
こんにちは!2019年8月、1ヶ月かけてロシア横断の旅をしたあずさです。
モスクワといえば、赤の広場やクレムリンと並んで地下鉄が有名。
東京の地下鉄の倍近くの深さにあるモスクワメトロは、地下深くに続く長いエスカレーターや特徴的なデザインで多くの観光客を惹きつけています。
実際、筆者がモスクワを訪れた際、多くの団体ツアー客が地下鉄駅構内でガイドの説明を聞いたり写真を撮っているのを目にしました。
それでは最初に、そんな魅力あふれるモスクワメトロの歴史を見てみましょう。
モスクワメトロの歴史
モスクワメトロは、ロシアの首都モスクワにある、1935年に開業した地下鉄。
スターリン時代の「正」の遺産とも呼ばれており、開業から80年以上がたった今では路線数は14、営業キロ数は139kmに達しています。
実は、モスクワでの地下鉄建設は1875年から提案されていました。しかし計画の不備や反対の声、第一次世界大戦、資金不足等により何度も計画は頓挫。結局、地下鉄の建設が決定されたのはソビエト時代の1931年でした。
建設決定から4年後の1935年にモスクワメトロは開業。当時のモスクワメトロの規模は、駅数が13、全長11.2kmでした。
現在まで拡張は続き、現在では総延長346kmと世界第6位の規模を誇っています。
ちなみに、初期に建設された駅は「社会主義リアリズム」(人民に革命意識を持たせるための教育を持った芸術)の様式に沿って建設されており、美術館や宮殿のような雰囲気。そのため、地下宮殿と呼ばれることもあります。
モスクワメトロの逸話
モスクワメトロにはいくつかの噂があります。
実際に起きたことから真偽のほどが定かではないものまで様々な噂がありますが、その中でも有名なものを3つご紹介しようと思います。
核シェルター
モスクワの地下には「メトロ-2」と呼ばれるもう一つの地下鉄が通っているのではないかと言われています。
「メトロ-2」とは、ソビエト時代に建設されたとされる核戦争時の緊急避難シェルターとそこに通じる専用路線の名称です。
公式にはこの存在は発表されていませんが、モスクワ市内にはメトロとは関係のない構造物や隔離扉などが存在しており、多くの人がその存在を信じています。
環状線についての噂
モスクワメトロには環状線があります。
噂によれば、地下鉄建設計画を聞いていたスターリンが路線計画図の上にコーヒーの入ったカップを置き、そのカップの茶色い跡を見て環状線の建設を命じたんだとか。
モスクワメトロの各線にはそれぞれの色があり、環状線の色は茶色。
それもこの噂と関係があるかもしれませんね。
防空壕として使われていた
独ソ戦(第二次世界大戦の中でのナチスドイツをはじめとする枢軸国とソビエトとの間の戦い)の間、モスクワにも戦火が伸びてきました。
その際、地下鉄には約1500万人の市民が避難したそうです。
戦争中、地下鉄では食料の配給を受けたり、診療所で診察を受けたり、図書館で本を読んだりすることもできました。
この戦争の間にも地下鉄の建設が続けられたというから驚きですね。
モスクワメトロの特徴
モスクワメトロには、ひと目見ただけでモスクワメトロだと分かってしまうくらいの特徴があります。
ここでは、モスクワメトロの特徴をご紹介します。
長いエスカレーター
核シェルターが併設されているという噂のあるモスクワメトロ。
そのためか、地下深くに作られており、なんと最も深い駅で地下84メートルの場所にあります。
ちなみに、東京の最も深い駅(大江戸線六本木駅)が約42メートルだそう。
地下深くにあるため、そこに降りるのにも一苦労。長いエスカレーターを乗り継いでホームに降りていくことになります。
豪華な内観
モスクワの地下鉄は通称「地下宮殿」。
社会主義リアリズムに基づいて作られた駅の構内は、柱に大理石が使われていたりシャンデリアが吊るされていたりとまるで宮殿のよう。
もちろん、全ての駅が宮殿のようではなく、実用性重視のシンプルな作りの駅もありますよ。
ぜひ訪れてほしい美しい駅3選
モスクワの地下鉄の中でも初期に建てられた駅は、「社会主義リアリズム」の様式で建てられており、まるで宮殿のような豪華な内観が特徴。
ここでは、特に美しくぜひ訪れてほしい駅を3つご紹介します。
キエフスカヤ駅
キエフスカヤ駅は1954年に開業した駅。
構内にはウクライナで開催されたコンテストで選ばれたデザインが使われています。
白い大理石とウクライナとロシアの連帯を示すモザイク画が特徴で、特に有名な駅らしく、地下鉄ツアーに参加する観光客の姿も多く見かけました。
コムソモルスカヤ駅
黄色の天井が特徴的なコムソモルスカヤ駅。
キエフスカヤ駅と同じく環状線の中の一駅で、同じ建築士によって設計されました。
こちらは1952年開業。
シャンデリアやモザイク画など豪華な装飾がとても美しいです。
ノヴォスロボツカヤ駅
美しいステンドグラスが特徴的な駅、ノヴォスロボツカヤ駅。こちらも環状線の中の一駅で、キエフスカヤ駅と同じく、1952年に開業しました。
大理石の柱に設置されている32のステンドグラスは、ラトビアのアーティストによって作られたそうです。
モスクワメトロを使ってみよう①乗車券の種類
それでは、実際にモスクワメトロを利用してみましょう。
最初に、乗車券の種類をご紹介します。
乗車券は全て改札にタッチする形式のカードになっており、全ての公共交通機関で利用することができます。
乗り放題カード(短期滞在の方におすすめ)
1日券、3日券、30日券など期間を選んで購入することができるチケットです。
回数券よりも安くなるため、数日間しかモスクワに滞在しない方にはお勧めです。
<運賃>
1日券 230ルーブル(約390円)
3日券 438ルーブル(約744円)
トロイカカード(長期滞在の方におすすめ)
トロイカカードとは、スイカのようなチャージ式の乗車カード。最初に保証金50ルーブルが必要ですが、この保証金はカードを返せば戻ってきます。
他の乗車方法よりも運賃が安くなるため、何度も地下鉄を利用する方や長期滞在の方にはおすすめです。
私がモスクワを訪れていたときは、チェブラーシカのデザインのトロイカカードが発売されていました。
<運賃>
1回 38ルーブル(約64円)
回数券で乗る(公共交通機関をあまり使わない方におすすめ)
あまり公共交通機関を使わない方には、回数券があります。
1回、2回から60回まであり、1回券と2回券は5日以内、60回券は45日以内に使わなければなりません。
運賃は、他の券よりも高め。
<運賃>
1回券 55ルーブル(約93円)
2回券 110ルーブル(約190円)
60回券 1900ルーブル(約3200円)
モスクワメトロを使ってみよう②乗車券の買い方
自動券売機
ロシア語を話すことができない観光客にとって最も簡単な手段である自動券売機。
もちろん英語にも対応しています。とてもわかりやすいので、モスクワに着いたばかりの私でも迷わず乗車券を買うことができました。
窓口
チケットは窓口でも購入することができます。
ロシア語が話せなくても大丈夫。窓口には英語を話す人もいます。
日本人って窓口を避けるような印象ですが、ロシアの人はむしろ自動券売機よりも窓口を多く利用している印象でした。
モスクワメトロに乗ってみよう③改札の通り方
改札口に購入したカードをタッチすれば、改札を通ることができます。
日本や他の国と同じなので、迷うことはないと思います。
降りる時には、改札に近づくとゲートが開く仕組みになっておりカードは必要ありません。
市民の足であり観光名所でもあるモスクワメトロ
モスクワメトロは、ソビエト時代に開業し、戦禍を潜り抜けて現在も発展を続けています。
ソビエト時代の豪華な作りは芸術的な価値もありますし、その鉄道網は、交通渋滞がひどいモスクワにおいて市民の足として重要な役割を担っています。
皆さんも、モスクワを訪れた際はぜひ、地下深くに潜ってモスクワメトロを利用してみてくださいね。
筆者、あずさの2018年12月から2019年9月までの世界一周旅行の記録。
東南アジア、南アジア、西アジア、バルカン半島、東欧、北欧、ロシアなどを巡りました。
ロシアの情報も今後どんどんと更新していきますので、チェックしていただけたら嬉しいです!
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