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Categoryセルビア

ユーゴ紛争で振り回されたセルビアの今とは?気候・治安・物価を体験談と併せて紹介!

1990年代に起こった、ユーゴ紛争。セルビアは、その戦争で大国に挟まれ、大きな被害が出ました。それから20年、セルビアは旅行のしやすい国になったのでしょうか。実際にセルビアを訪れたときの印象を織り交ぜつつ、最新のセルビアの気候・治安・物価を紹介します。

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冒険と登山が好きな自転車乗り

うなお丸

植村直己さんに憧れて登山を始めました。世界のあちこちに旅をするのが大好きです。よろしくお願いいたします。
セルビアのまちなか

基本的にセルビアの観光地はベオグラード及びその周辺となります。

ベオグラードでは数多くの建築物や戦争の負の遺産などを見ることができました。

駅舎には非常に趣があり、建築物の写真を撮って回るのも楽しい場所です。


ユーゴスラビア紛争においては戦火に巻き込まれたベオグラードですが、現在は平和な姿を取り戻し、人でにぎわっています。

そんなセルビアの、気候と物価、治安について紹介します。

セルビアの気候

セルビアの年間気候

セルビアは、大陸の一部なので、位置的には穏やかな気候となっています。ただし、山や標高の高い地域が多いため、温度は東京より低め。夏場でも夜は15℃程度になります。

グラフはベオグラード周辺の気温になりますが、山間部ではこれよりさらに5℃ほど下がると考えておきましょう。


1年を通して、雨は多め。特に6月はまとまって降ることが多くなります。2月と10月は比較的少なめ(2月は雨というより雪になる事が多くなります)

セルビアのベストシーズンは春や秋

冬のセルビア

セルビアのベストシーズンは、6月の雨季が終わってから、9月まで。夏の間でも、最高気温が30度に達しないので、気持ちよく過ごすことができます。

10月に入ると、最低気温が10℃を下回る日が増えてきますので、洋服を1枚多めに持っていく必要があるでしょう。

ベストシーズンでも、雨がまったく降らないわけではないので、雨具は常に携帯しておきましょう。

時期別のおすすめ服装ポイント

引用:https://www.instagram.com/p/B0vjcQdAUHn/?utm_source=ig_web_button_share_sheet

春……気温は7℃~15℃。春先は厚手のコートやダウンが必要になります。あたたかくなるにつれて降水量が増えていきますので、傘やカッパを用意しておきましょう。


夏……気温は17℃~22℃。日本に比べるとかなり涼しく感じます。特に山間部なら、夏でも長袖のシャツが欲しくなります。薄手のカーディガンやメッシュの上着を持ち歩きましょう。6月は雨が多く、8月は湿度が高いので、気温が低くても暑く感じることもあります。


秋……気温は17℃~7℃。降水量が少なく、セルビアの1年の中で一番過ごしやすい季節と言われています。昼間は薄手の長袖シャツでも行動できますが、朝晩のことを考えると、少し集めの上着を持ち歩きましょう。


冬……基本的には東京の冬の格好と同じでも構いません。ただ、山岳地域や、その他、高原の地域に行く際には、ベオグラードより気温が低くなるため、雪国エリアの服装を用意しましょう。

足元はしっかりと暖を取れる靴があると便利でしょう。

私が訪れたのは年末時期

セルビアの昼間

わたしはセルビアには冬に訪れました。雪は降っていませんでしたが、雨だったのでかなり寒く感じました。

素敵な建物が多かったのに、晴れなかったのが残念。

特に足元からしんしんと底冷えをする感じが強かったので、厚みのある靴を履いていって良かったです。

セルビアの物価について

セルビアはヨーロッパの中では物価が低い

引用:https://www.instagram.com/p/B2bpd2rgCWs/?utm_source=ig_web_button_share_sheet

物価に関しては西欧諸国よりは少し安いと思います。

旅はしやすく、また入国の移動手段も、LCC(WizzAirなど)をもちいて安くセルビアに入ることができます。

チップは必須ではありませんが、端数を切り上げるくらいのことは日常的に行われています。


通貨はディナール。日本円から両替できるところは多くないので、ATMから引き出す方が手数料も安くて便利です。

1ディナール=約1円(2019年秋)

食料品の相場

引用:https://www.instagram.com/p/B18WEiJlQmO/?utm_source=ig_web_button_share_sheet

水(1.5L):50円

パン (500 g):50円

ポテト (1 kg):60円

鶏肉 (1 kg):500円

ビール(500ml):70円


日本のスーパーの半額くらいで購入できます。

外食での相場

セルビアのハンバーガー

安いレストラン:550円

おしゃれなカフェ:1000円

チーズバーガー:150円

ビール(500ml):150円

コーラ(330ml):140円

カプチーノ:140円


気軽に食べられるお店が多かったです。日本に比べるとお酒が安かった印象。

交通機関の相場

セルビアの交通

空港からベオグラード市内までのバス:(売店)80ディナール (運転手)120ディナール

空港からベオグラード市内までのタクシー:1500ディナール

電車初乗り:100円

タクシー初乗り:150円


タクシーは流しに乗るとぼったくられることがあるので注意しましょう。

宿泊施設での最低金額

引用:https://www.instagram.com/p/B1wjSnTl6fZ/?utm_source=ig_web_button_share_sheet

ドミトリーのホテル:600円~

星一つのホテル:2500円~


私は夜行列車で移動したので、利用していませんが、ドミトリーでしたらそれほど高くありません。

日用品の相場

引用:https://www.instagram.com/p/BzC6jhYIVn_/?utm_source=ig_web_button_share_sheet

ワンピース:2500円

映画館:400円

タバコ:300円


値段はピンキリになりますが、蚤の市をのぞくのも楽しいです。

私の節約方法

セルビアの電車

上の項目にも書きましたが、夜行列車で移動しました。移動手段とホテルを兼ねて、さらに次の日の早朝につけるので1日を有意義に過ごせるので。

車両は落書きがされたもので、一見不安でしたが、中で知り合った人たちがあたたかく話しかけてきてくれて居心地よいく過ごせました。

セルビアの治安

セルビアの治安についての外務省発表

◆十分な注意が必要なエリア

・コソボ国境周辺


コソボとの国境周辺では、アルバニア系住民とセルビア系住民の、民族間の緊張が継続中。

十分に注意してください。

個人的に治安で感じたこと

戦争のあと

2012年に私がはじめて訪問した時は、外務省からはコソボ国境に近づかない方がいい、との勧告がありました。現在は勧告はありませんが、今でも危険をはらんでいると言う事は頭に置いておくのがいいでしょう。


ベオグラードの町中は、昼間に出歩く分には随分と落ち着いているな、という印象でした。が、時々、戦火の後が残されていて、胸をぎゅっとつかまれるように感じました。


また、暗がりなどは危険と視線を感じました。夜に出歩くことは、夜行列車にのったりバスに乗るなど以外はないと思いますが、その場合は細心の注意を払い行動しましょう。

治安で気を付けるエリア紹介

サッカースタジアム周辺

セルビアのサッカーグッズショップ

日本代表で活躍する浅野選手がセルビアのサッカーリーグに所属しているので、観光に行く日本人も増えてきましたが、セルビアのサポーターは日本のそれとは本質的に異なり、スタジアムに不用意に近付くのは危険です。

セルビアのベオグラードのサッカーチームは名門として知られ、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグで活躍しています。

かといって、サッカーのスタジアムはお世辞にもしっかりとした治安が保たれているとは言い難く、喧嘩や酔っぱらいも多いので避けたほうが無難です。


特に、レッドスターベオグラードとパルチザンベオグラードの一戦はダービーマッチと呼ばれ、ライバル同士の対決になる事から、いつも以上に雰囲気が悪くなります。地元タクシーの運転手でも近くに近寄りたがらないと言われていますので、立ち寄らないようにしましょう。

ベオグラード駅周辺

ベオグラード駅

駅は数多くの人が行きかうエリアです。それ故に犯罪の温床ともなりがち。

特に夜はスリが増え、喧嘩沙汰も多くなります。暗くなってからはあまり近寄らないでください。


駅でなくても、夜間の外出は極力控えるようにしたほうが安全です。

コソボ国境付近

今でも未解決なセルビアとコソボ間のいわゆる「コソボ問題」。コソボはセルビア南部に位置する国ですが、セルビアはコソボの独立を認めず、今でもコソボをセルビアの一部と認識しています。


治安は安定こそしていますが、依然として緊張状態にあるので注意が必要。

コソボとセルビア間の移動は直接行くのではなく、遠回りになりますが別の国を経由していく方が安全です。


とくにコソボからセルビアへの入国は難しいとされています。セルビアが、コソボを国として認めていないので、セルビアへ不法侵入したとみなされる可能性があるのです。

時期によっては、コソボ側の出入国スタンプにセルビア側の【無効スタンプ】を押されただけだった」というパターンもありますが、不要なトラブルを避けるためには第三国経由で移動するか、セルビアからコソボへ行くルートにしましょう。

私はマケドニアを経由していきました。

セルビアでのシーン別治安注意ポイント

スリや置き引きはどこでも気を付ける

引用:https://www.instagram.com/p/Bo3bSttg_-x/?igshid=1qo670txg21k

セルビアでも、日本人が遭遇しやすい犯罪のひとつが、スリです。旅行で楽しかったはずが、旅行どころではなくなってしまいます。


不特定多数の人々で混雑した地下鉄やバスなどの車内はとくに狙われやすい場所。

散策中も貴重品をあまり外ポケットに入れず、懐深くにしっかりとしまっておきましょう。

大人だけではなくぶつかるような距離に子供が来たときも警戒が必要です。


もし、貴重品、とりわけパスポートの盗難にあった際には、すぐ大使館に助けを求めなくてはなりません。

大使館の場所を確認しておく必要があります。

在セルビア日本大使館の詳細情報

住所:Ulica Tresnjinog Cveta 13,11070 Novi Beograd, Srbija

Tel: +381-11-301-2800

Fax: +381-11-711-8258

ぼったくりタクシー

引用:https://www.instagram.com/p/Bp4M5srA6Dk/?igshid=q1dz2gk3462h

スリの次に被害が多いのが、ぼったくりタクシー。観光客と見ると、相場より遥かに高い金額を要求してきます。なので、空港から市内に向かう際にタクシーを利用する場合はとくに注意が必要。乗る前に金額を確認しておけば安心です。


セルビア国立観光協会は、『ターミナルビルを出るとタクシーのドライバーが声をかけてきますが、絶対にそうしたタクシーには乗らないでください。通常の5、6倍の料金を請求されます。』と注意を喚起しています。

セルビア国立観光協会

セルビアへ入国した際の注意点

www.serbia.travel

夜道やお酒の場も気を付けよう

セルビアの夜

治安が落ち着いているとはいえ、夜になるとガラリと雰囲気が変わります。

夜に出歩く場合は自分の背後に気を付け、数十歩歩いたら振り返るなどの警戒が必要です。つけられていそう、などと少しでも変だと思ったら、大通りなど人が多い場所に移動しましょう。

飲みたいならホテルのバーなど安全な場所で飲むのもおすすめ。旅が楽しくもなるし、一定数の客層しかいないので気分的に落ち着けます。

ドミトリーのホテルでは貴重品は放置しない

セルビアのドミトリー

ベオグラードのドミトリーに泊まったときのことですが、ホテルの部屋に戻ったとき、同室の人がとても慌てているということがありました。

部屋に置いていたノートパソコンが盗まれてしまっていたのです。


セルビアでは、ドミトリー形式の宿がとても安くなっているのですが、部屋に誰でも出入りできるため、貴重品の盗難が多いそうです。

少しの間でも、たとえホテルにホテルスタッフしかいない時であっても、盗難には気をつけ、大切なものを放置しない必要があります。

セルビアはエリアを選べば安心して旅行できる

引用:https://www.instagram.com/p/BuHDqtNBJ3b/?igshid=1xk0uf1i4ld40

私がはじめて渡航した2012年は、外務省に於けるセルビアの渡航危険レベルは2-3となっていました。

コソボとの国境方面には行かないようにと強く言われましたし、またホテルで犯罪に巻き込まれた事もあります。実際に夜歩いていて怖かった事も多々ありました。


楽しく旅行するために、暗がりなどには近づかない、そして危ないと言われている地域を避けることが必要です。

セルビアの観光地情報はこちらです↓

【2019年最新】セルビア首都ベオグラードの観光地を徹底解剖!のサムネイル

【2019年最新】セルビア首都ベオグラードの観光地を徹底解剖!

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おしゃべり好きの人々との楽しい旅

セルビアのサワ教会

セルビアはユーゴスラビア紛争をへて現在に至ります。

2013年には街のあちこちにその戦争遺構も残っていましたが、現在は平和な姿を取り戻していて、活気もあふれています。

ヨーロッパのほかの国々と違い、人々がかなり親切だったのを覚えていますし、また、ベオグラードではカフェの店員さんと日本について話したり、ホテルの人たちとも交流ができたりと良い旅となりました。東洋からの観光客はとても珍しい、と喜ばれました。


ですが、戦争の遺構を見に行くと、否が応でもその事を頭で考えてしまいました。

歴史を勉強した上でセルビアを訪れると、より一層セルビアと言う国の旅を想い出深いものにしてくれる、と私は思っています。