スペイン人は意外にクール?情熱的と思われがちな性格と国民性・上手な付き合い方を在住者がご紹介！

こんにちは、スペイン在住ライターMariaです。

留学や移住希望の方から「スペイン人と上手く付き合う方法は？」という質問をよく受けます。また、日本の友人たちにスペイン人のイメージを尋ねると全ての人がまず「情熱的な感じ？」と答えます。

ところが、7年間スペインに住んでいて情熱的に見えるスペイン人に出会ったことがありません。このイメージ、どこから発生したのでしょうか？本当の性格は？

ここでは、私が実際接して感じたスペイン人の性格と国民性その特徴についてご紹介します。

スペイン人が情熱的な国民性と思われるのは、スペイン人＝ラテン系という感覚が強いからでしょう。ラテン系のダンサーやシンガー、芸術家の生み出すエネルギッシュなパフォーマンスは、日本人にとってある意味刺激的に映ります。日本人の性格にない、反対のキャラクターの代名詞としてラテン系を示し、その特徴例として「スペイン人」が挙げられているのではないでしょうか。

実はスペインは人種のるつぼ。古くはトルコ、ローマの侵攻によって文化と人種が融合され、のちに南米をはじめ様々な国の人々が移住してきました。人々は永くスペインに住み国籍を取得してスペイン人と名乗って生活しています。しかし生まれた地の風習や宗教を重じた生活環境に囲まれている彼らの性格や常識はそれぞれです。

ある友人はアンダルシア出身、バルセロナの大学を卒業後アラゴンのある街で教師をしています。彼女はアンダルシアをこよなく愛していますが、故郷に帰ると人々の過干渉さに疲れる、と言います。「住むのならアラゴンはいい距離感で人と付き合えて楽よ」と彼女は言います。住む場所で人々の特徴はガラリと異なります。私も山に囲まれた地域に住み始めてから、短気だったはずがだいぶ穏やかな性格になった気がします。

世代差で大きく国民性も異なります。スペインはカトリックの年中行事やお祭りを欠かさず行いますが、普段教会に赴く若者はごくわずかです。また現在、伝統的家長制や根強い男尊女卑排斥について若い世代は頻繁に働きかけをしています。若い世代は今まさに国民意識の変革を望んでいます。そして年長者からは、今と昔では人の考え方や性格もだいぶ変わったよ、とよく聞きます。

よく「pasa nada(パサ・ナダ)」というフレーズを聞きます。そんなことなんでもないよ、という意味。ちょっとしたミスはどうってことないし、という感覚で受け止められます。ちょっと嫌なことがあっても数分後にはケロッとしてる性格や、人の欠点にも寛容で気にならない、そんな前向きな国民性からは見習いたいものがあります。

頻繁に会い仲良く暮らす家族が多く、若者も家族と協力し、お年寄りや小さい子供の面倒見がとても良いです。なので、困っている人を助ける姿に自然さを感じます。私も日頃近隣の人々に助けてもらっています。さらに、子供の頃からの友達とは成人してからも家族ぐるみで長く付き合います。友人に何か悩み事が生じるとまるで兄弟のように解決のために尽力を惜しみません。

独立心が強く個人主義の徹底したヨーロッパ人の中でも、スペイン人は集団の結束力は固く、まとまるとその力を大いに発揮します。サッカーやバスケ、水球など団体競技が強いのもその一つです。ただ、この国民性のおかげでデモやストも大掛かりとなり権利のために仕事や勉学もお構いなしに長期間戦いが続くこともあります。

ある夏、南の街マラガで観たフラメンコショーでは、壮絶なエネルギーに圧倒され「ああ、これがスペインの情熱の由縁か！」と感じました。その後もガリシアやバスク地方も訪れましたが、地域によって人々の印象は様々でした。またいろんな地を巡る中で、スペインは歴史上何度も平和な国を築くために人々が揺るがない正義や信念、実現するための強いパワーを注いだことを知りました。

私が感じるスペイン人の共通する国民性は、普段は質素に生活しているけれど「ここぞ」という時には家族を守るため、気持ちに正直であるためのパワーを発揮する、といったところでしょうか。

総国民性と言っていいほど人の気持ちを汲むことに関しては鈍いところがあります。こちらの話の途中でも自分の話をしたくて割り込んできたり。好意とお節介が混在していて、悪びれずプライバシーに関与してくる人もいます。若い人に多いのが、細かいところにクヨクヨしないのはいいのですがその分ガサツな性格、付き合わされる立場になるととても疲れます。また、自分の中に溜め込まないようにするあまり、思ったことをズバッと言い除けるところがあります。これには特に繊細な日本人としては苦手意識を感じます。

主人がある日「この国では3人で仕事をしても1日1人分の仕事しか進まない。あとの2人は休んでるから。」と言いましたが、日毎にその実態を垣間見ることになりました。たった1km区間の高速道路の舗装がまる3年かかった、などはまだ早い方です。他人から何かを頼まれても気が向かないといつまでもほったらかしです。その反面、他人の行動が自分の意にそぐわないと激しく怒りのアピールをし、話し合いにならないことも。本当に自由すぎて困ります。

スペイン人は生活視野が狭いので他の国の人のあしらいが下手です。露骨な差別は極めて少ないのですが、他人種の接し方がわからないと素っ気ない態度で接してきます。興味がなければいくら日本人について説明しても理解が伴わず、いつまでも先入観が抜けないので打ち解けるまでに時間がかかる人もいます。

スペイン人との性格の違いは膨大にありますが、共通点を探り相手の懐に入るようにすると、大勢のスペイン人の中にいても疎外感を感じません。相手の性格を肯定的に認め合う気持ちでいると、よそ者や外国人に慣れていないスペイン人でも徐々に身内感覚で接してくれます。一度仲良くなれば色々世話を焼いてくれ、強力な味方になってくれます。

おしゃべり好きな国民性のスペイン人にとって会話は第一。私も最初はスペイン語が話せずちょっとしたからかいも受けました。でも、スペインにいる以上アウェー感は否めないのでここは自分が大人になって「ま、これがスペイン人なんだな」と受け流して過ごしています。こちらが一度態度で表せばそれ以上はしつこく関わってきません。逆に距離感を縮めたい人には積極的に接しましょう。

干渉されるのを嫌がる性格の割には寂しがり屋のスペイン人。誘いも多く気前よく全て受け入れているとパンクします。強引な意見や意に反した提案には「Yo no creo (ジョ ノ クレオ)」私はそう思いません、「No quiero hacerlo(ノ キエロ アセルロ )」私はそれをしたくないです、と軽く断って構いません。意外と相手もすんなり納得します。ストレスをため込まないためにもここはスペイン人に習ってはっきりと自分の考えを伝えましょう。

日本人が外国に好奇心を抱くように、スペイン人も遠い東の国日本にとても興味を示します。アニメや時代劇映画、日本食を通じて独特な私たちの文化を好み、日本のスピリットに触れてみたいと感じている人は少なくありません。スペイン人にはない、巧みな器用さや他人を気遣う心、正義を示す方法などに感銘を受ける人も多いです。ですから、スペインに住んでいるからと言って日本人の気質を捨てる必要はありません。相手の国民性や性格の特徴を尊重しつつ過ごせば、いずれ相互の理解が得られます。

最近スペインも都会は物騒になり、盗難などの犯罪も増えてきました。しかしその割にはスペイン人は人を信じやすい面を持っています。たとえ騙されることが身近に起きても、根本のところで人を信じたい、と思う精神は日本人の国民性と似ているなと感じます。それはカトリックや仏教など宗教の教えよりもっと深い人々のルーツから身についた気質ではないか、と感じます。その証拠に、日本とスペインは風土や気候、受け継がれる生活の知恵などに類似点が多いのです。

また、スペイン人が時折醸すナイーブな性格は日本人に似ているなぁ、と感じさせます。寂しがり屋な性格な分、人に寄り添うペースを持っていますし、情に脆いところもよく似ています。親しくなってからは非常に面倒見が良いので、私の移住生活が長続きしているのはこのような人々が多いからかな、とも感じています。

人々の国民性と性格は、生まれ持った気質と環境によって培われたもの。スペイン人の短所は私達には受け入れられない違いもありますが、その反面彼らから学ぶところもあります。互いの国民性に触れ性格に寄り添えば、日本人同士とはまた異なった深い人間関係が築けるはずですよ！

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