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在住者がスペイン移住の魅力やデメリット・ギャップを大公開!移住の方法も解説します!
数多い名所に感動してスペインに住んでみたい!という方から「移住してみてどうだった?」とよく訊かれます。スペインに移住するには何が必要なの?準備は大変?そこで今回は、皆さんにスペイン在住者の日々の生活の特徴や日本との違い、移住への準備についてご紹介します。
この記事に登場する専門家
スペイン在住ライター
Maria07
スペインに住むってどんな感じ?
こんにちは、スペイン在住ライターMariaです。一度観光に訪れると日本にはない雰囲気に魅せられて「スペインに住んでみたいな〜」と憧れる人も少なくありません。ここでは在住7年目の目線で移住に関する情報をお届けします。
9年前、私は今の主人と出逢い結婚のために移住しました。それまでまさか自分がスペインに住むなんて考えも及びませんでした。ほとんど準備もせず見切り発車で異国生活スタート。日本と全く違う土地で7年間は不満や苦労も山ほどありました。でも生活にも慣れ落ち着いてきたこの頃、ようやく「スペイン移住は私の人生において必然だったんだな」と感じるようになりました。
在住者から見るスペイン移住のメリット
①青い空と海!豊富な自然と歴史
まずは誰もが訪れた途端魅了される自然と歴史の深みがあります。青い海、緑の山、世界遺産の遺跡や建造物。自然を守り歴史に触れることを人々は誇りに感じています。都会育ちで歴史が苦手の私には学ぶところがたくさんありました。
②グルメの国スペイン
そして長期移住には重要ポイント、なんと言っても食に貪欲なところ。日本人の舌にも合う海の幸山の幸が揃っています。料理とともに美味しいワインやシェリーを堪能できるのもスペインの魅力です。
③外国人差別がほとんどない
これまで様々な国を巡りましたが、スペインほど外国人に対する扱いが自然な国はありませんでした。古くから異国民との関わりに慣れているせいでしょうか。ないとは言い切れませんが、これまで生活上露骨な人種的差別に遭ったことがありません。
④ストレスレス・開放的な暮らし
スペインに来て圧倒的に「対人によるストレス」が減りました。スペイン社会では他人に関与されず、スペイン人の裏表ない部分に精神的に救われることが多々あります。重ねて国民の祝日やバケーションが多く、仕事に追われず好きな人たちと暮らしを楽しむ余裕があります。
スペインに移住〜その目的は?
①留学
スペイン語だけでなく、興味のあることを学ぶ留学が多いのはスペインの特徴です。私の友人にも休暇を利用して音楽やフラメンコ、料理の短期留学に来る人がいます。
②就職・転勤
現在スペイン人の就業率が低いため外国人の就職はさらに難しいですが、首都バルセロナやマドリッドでは日系企業もあり現地就職、転勤のケースは存在します。現地ガイドやカメラマンなどのフリーランサーもいます。
③結婚による移住
留学や就職で移住した後に恋愛をし結婚するカップルや、SNSの普及で国際結婚の後移住する人も増えてきました。
④リタイヤ移住
「終の住処」としてスペインを選ぶケースも聞かれます。都会は物価が高くトラブルも多いため、静かな郊外に居住する人が多いようです。移住に伴いスペインの土地や物件を購入した人は永住権を得ることができます。
目的に向かって移住場所を選ぶ
例えば、語学留学なら最初は地域特有の訛りや特殊言語のない地域選択が必要です。また、日本女性に人気のフラメンコを学ぶなら優秀な舞踏集団が集中している南スペインがベストです。このように、スペインで何をするかでどこに住むかも決まってきます。
気候や風土も東西南北それぞれ違います。青い地中海に魅せられた人が現在私が住んでいる内陸アラゴン州の岩山を見たら「スペインに住んでいる甲斐がないなぁ」と思われることでしょう。特に永住場所を選ぶならとても重要ポイントですね。
移住は長期?短期?
想定外のことが起きたり「水が合わない」なんてことも海外移住では少なくありません。あらかじめ「いつでも日本に帰れる」選択肢を備えておくことをオススメします。これが実は、慣れない生活の中でも頑張れる励みになるんです。大学卒業や就業など期間が決まっている場合以外は、いきなり5年、10年を見据えるより短期更新を目指して自分を追い込まないのが海外移住のコツです。
スペインなら都会に住む?田舎に住む?
都会に住めば便利ですが家賃や物価が圧倒的に高い。郊外に住むと静かに過ごせても、商店が少なく鉄道の駅がなかったりバスが1日に数本、という不便さが付いてくる上に、良い語学学校も外国人の雇用も少ない。車や鉄道で通勤30分〜1時間の範囲なら、比較的物価が安い郊外に住み仕事は都市で、という移住者も多いです。
やはり移住するならスペイン語は必要?
都市部では多少英語は通じますが、圧倒的にスペイン人はスペイン語しか話しません。ですので、移住当日からいきなりスペイン語責めです。しかも外国人だとて容赦なく喋りまくられます。独自の経験からも、移住が決まったら少しでも言語学習の準備をしておくことをおススメします。移住後に語学学校に入るとしてもクラス分けで最下クラスではモチベーションが下がりますし。挨拶程度だけでもするっと口に出るようにしておくと言葉のコンプレックスは軽くなりますよ。
ちょっと休憩〜スペイン移住の経験談
なんともお恥ずかしい話なのですが、スペイン人の主人と出逢うまで私はスペインがどこにあるのかさえ知りませんでした。スペインとは年中暖かく、人々は情熱的で明るい、そんな漠然としたイメージでした。
そして、初めて降り立ったバルセロナの空港内の案内板には見たこともない言語の表記。それまでカタルーニャ語の存在を知らなかったのです。また、訪れた冬の季節、山々が白くなり初めて「スペインも雪が降る」と知りました。人々は意外にも堅実でおだやか、劇的で情熱的でもないキャラクターが多い。準備不足を十分噛み締めた体験でした。
今ではネットでほぼ確実な現地情報が得られます。でも住み始めてから知ることの多いこと!アパートに住み、スーパーや市場で買い物をし、人々の営みを観察して日本の生活とのギャップを楽しみながら、徐々に観光では得られない生活感に馴染んでいき現在に至ります。
スペイン移住計画①〜ズバリ必要な経費・生活費どのくらい?
東京出身の私から見てもスペインの物価、そんなに安くありません。例えば、現在バルセロナ、マドリッドの家賃は8万〜、郊外でも5万前後、光熱費は1人住まいでも1万ほど、食費も必要ですね。ルームシェアや節約に努めても年間で100万円はかかる、と見積もって間違いはないでしょう。さらに留学費や引っ越し準備費用も。移住を決意したら早めに資金調達や貯金の計画を立てましょう。
スペイン移住計画②〜許可申請は正確がポイント
移住準備では一番手間なのが在留申請です。ビザや外国人登録(NIE)が必要で、住む目的や期間によって必要書類も変わってきます。申請受理に時間もかかり厄介ですが、留学先の学校や斡旋機関、就業先でサポートしてくれます。
また、かなり頻繁に申請ルールが変わりますので、ご自身でも大使館や外務省の連絡先を控えておきましょう。メールで質問も可能です。
在スペイン日本国大使館
現地情報や各種証明についてわかります。
www.es.emb-japan.go.jp
正確な書類準備はとても重要です。在日スペインの職員の方から「翻訳よく頑張りましたね!でも、これだと現地では意味不明と言われて却下されます。」とスッパリ言われ、書式も含めて書き直しました。翻訳については大使館では請け負ってくれませんので、スペイン語に自信がない場合は翻訳代行を頼みましょう。ネットでもネイティブ翻訳家の委託が可能です。費用は5000〜20000円(筆者調べ)ほどかかりますが、確実な書類作成は申請許可の近道です。
在日本スペイン大使館HP
入国に必要な情報が載っています。
www.exteriores.gob.es
スペイン移住計画③〜健康管理と保険加入
健康診断と歯科治療は移住準備の要です。スペインで外国人登録、住民登録をすると住んでいる州の公立医療機関は無償で受けられます。が、歯科治療と私立の病院医療、通訳は自己負担です。特に短期滞在には、事故や怪我、手術が必要になった時のために日本語サポートサービスのある民間保険の加入をしておきましょう。
移住直後は引っ越しの疲れや新しい場所への緊張もあり体調を壊しやすいです。引っ越し準備時に半年分ほどの風邪薬や胃薬、ビタミン剤など常備薬は備えておきましょう。
安全な移住生活を送るには
昨今、スペインの都市圏で市民デモが行われることがあります。大きなデモは暴動に繋がり警察との衝突も発生します。交通機関のストライキも頻繁です。
このような時、外務省、在スペイン大使館からのお知らせが役に立ちます。ネットでも可能なので、居住地管轄の大使館、領事館へ在留届を提出してメールアドレスを伝えましょう。デモやストライキ、防犯情報が自動的に送られてきます。外務省管轄でできないこともありますが、質問や相談が日本語でできる機関として大事な情報網、連絡先は控えておきましょう。
日本外務省HP
国別の現地情報や各手続きのガイドが載っています。
www.mofa.go.jp
最近、都市部では盗難目的の事件が増えています。スリや置き引きなどの予防策も準備として抑えておきましょう。移住先では大金の保管や所持が難しいものです。留学や転勤などにはクレジットカードが便利です。各種保険付帯なら盗難、緊急のサポートサービスがあるので安心して利用できます。
スペイン在住者の口コミは重要情報
今でも外国人登録更新の前に、同じ時期に同じ地域で手続きを果たした方々のブログ探しをします。
これはスペインあるあるなのですが、たとえスペイン政府の許可申請であっても、委託する各役所や警察窓口で「持ってこい」と言われる必要書類が地域ごとに違います。しかも驚くことに、同じ場所でも担当者が変わるとまた指示が違うんです。当局に問い合わせてもHPは更新されておらず、電話も全く通じません。
また、生活面でも戸惑いがいっぱい。薬品や洗剤、化粧品などはスペイン語表記でわからないものもあります。そこで一番頼りになるのが、日本人在住者の皆さんの口コミです。在住日本人会などの交流もとても助けになります。これがどのスペイン人の情報よりも確実なのが驚きの事実です。
やっぱり知っておきたいスペイン移住のデメリット
①圧倒的に遅れているインフラ整備
この記事を書くにあたって、在住者の友人たちにもアンケートを取りました。共通した意見の代表は、EU加盟国のはずのスペインが日本に比べて後進国に見えること。
地震などの天災が少ないスペインではいつまでもインフラ整備は昔のまま。アスファルトなど皆無な旧道や坂道も多く、石畳に足を取られハイヒールでは歩けません。
②謝らないスペイン人
数回引っ越しをしましたが毎回アパートのどこかが壊れていました。修理を頼んでも週末、祝日は当たり前のように休むため、極寒の中ガスなしで3週間過ごしたこともあります。通販の注文発送も相手次第、まず約束通り来てくれません。苦情を申し入れてものれんに腕押し、ミスがあっても日本のスタッフのように謝ったりしませんし、苦情も聞き届けられないのでひたすら待つのみです。
③公共スペースが不潔
私が最も閉口したのが公共施設や公道をキレイに使う概念がないこと。自分のうちはピカピカに磨きあげるスペイン人ですが、公共の場をきれいに共有する概念が欠けています。バーや総合施設のトイレが汚なかったり、道端ど真ん中に「犬の落とし物」がドカンと転がっています。一時期はもう外に出るのが嫌になったほどです。
④コネや口利きには弱い
スペインは日本より個人主義を尊重し自由ですが、それは「他人のために情では働かない」ことと紙一重です。在留期間に関わる手続き受理でさえ、こちらの都合はお構いなく数ヶ月はザラに待たされます。ところが共通の知り合いの口利きやコネにはコロっと体勢が変わり、あっという間にことが済むことも。持つべきは「顔の広い友人」だと心から実感します。
違いから学ぶ〜スペインに住んでみて思うこと
スペインでは、良い意味でも悪い意味でも人々の行動が「曖昧で無意味」なところに日本との差を感じます。日本には人々が小さい頃から学ぶ社会共通の常識や秩序がありますが、スペインには人の数だけ常識があるため、隣人と自分の意思が合わない場合でもよほどのことがなければ関与しないスタンスを取ります。
ここでは人に自分の常識を押し付けると嫌われます。人々は個性を尊重した生活をしているので、こちらの良かれと思ったアドバイスも大抵寝耳に水。そのかわりこちらの行いにも文句を言われることもありません。同時に簡単に助けてもくれないので独立性が養われ、自分で考えて生活する知恵や癖が身につきます。当たり前という型にはまらず人に迷惑をかけない程度に自由に生活をする、これが日本との違いであり、スペインで暮らす魅力でもあります。
まとめ〜スペイン移住実現に向けて
スペイン移住とその準備について、在住者の目線からちょっと辛口コメントも交えてご紹介しました。どこにでも欠点は付き物、でも「住めば都」とも言います。そして、海外に住んでみて改めて日本の良さもわかります。海外移住は人生で重要な決断ですが、皆さんにとって有意義な経験となりますように。
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