Category中国
上海語は中国語じゃない?!上海語について詳しく解説!
中国最大の都市上海。上海で生まれ育った上海人の間で使われているのは、中国語標準語とは大きくかけ離れた「上海語」です。上海語の特徴や中国語標準語との違い、また覚えておきたい上海語ワンフレーズまで。上海語に関する情報を上海在住20年の筆者がお届けします!
この記事に登場する専門家
上海在住ワーママライター
もりむらきよか
上海人が話す言葉は中国語?上海語?
皆さんこんにちは!ワーママライターのもりむらきよかです。
今日は私が住む中国上海で話されている「上海語」についてお話します。
中国で話されているのは中国語じゃないの?!と思われるかもしれませんが、
広大な国土と世界最多の人口を抱える中国では、「普通話」と呼ばれる標準語、つまりNHKの「中国語講座」で教えてくれる「中国語」を日常的に話す人は実はそんなに多くありません。
各地で話されているのは、その土地土地の方言なのですが、その方言が日本人が認識する「方言」のレベルをはるかに超えて、もはや別の言葉?!というくらい違うものも存在します。
上海語も方言の一つですが、これがまたなかなか癖のある言葉でして^^;
上海語の特徴や魅力、ワンポイント上海語講座まで盛りだくさんでお届けします!
最後までお楽しみください♪
中国語の方言の一つ?!上海語ってこんな言葉
そもそも上海語ってどんな言葉なんでしょう。
成り立ちや特徴など簡単にご説明しますね。
上海語の成り立ち
「上海語」は中国語では「上海話」と呼ばれています。
前述のとおり中国語の方言の一つで、「呉語」という呉の国で話されていた言葉をルーツにしています。
おなじ「呉語」をルーツにする方言は、浙江省や江蘇省、福建省の一部などで話されていますが、上海語とは多少の違いがあります。
中国語の標準語である「普通話」は、教育のための言語統一の必要性から、清末期に改ざんが始まって1950年代に中国の共用語として法的に制定された新しい言葉ですが、上海語は呉の時代、つまり紀元前から受け継がれる長い歴史を持った言葉なのです。
上海語の特徴
上海語の大きな特徴の一つに「声調」があげられます。
そもそも、声調とは何か。
簡単に言うとアクセントのようなもの。
漢字単位で「上り調子に発音する」「平坦に発音する」など、声の高さまで決まりがあるのです。
同じ発音でも声調が違えば全く違う意味になります。よく言われるのが、
「ma マー」の発音。
「マ→」とまっすぐ言えば「お母さん」、「マ⤵」と上から下に下がると「罵る」など、全く違う漢字と意味になってしまうのです。
中国語の標準語は声調が4つですが、上海語には5つ、もしくは6つあるといわれています。
読み方のほかに5つも6つも声の高さがあるなんて、とても複雑で外国人にはかなり複雑ですよね^^;
上海語は主にどんな人が話している?
上海語は上海で生まれ育った人が生活の中で使用している言葉です。
ただ中国語の中で大きな存在感を示している広東語や閔南語と比べると、その影響力は大きくなく、上海語が分かる人口はさほど多くありません。
マスメディアでも上海語がつかわれることは少ないのですが、一部コメディーや漫談などで上海語がつかわれると、上海人は非常に喜びます^^
上海人は上海語を話せることを一つのプライドとしているようです。
だから、彼らにとって上海語が話せる相手、というだけで何か一段、壁が低くなる感じがします。
ビジネスなんかでも、最初は普通話で探りあっていても、お互い上海人とわかって上海語で話し出すと、いきなり昔からの親友のような親しさを醸し出します(笑)
上海人にとって、上海語はビジネスでも社交でもとても重要なポイントなのですね。
こんなに違う!上海語と中国語の標準語
上海語と言ったって、中国語の方言の一つでしょ?
中国人なら大体聞き取れるし話せるんじゃない??とお思いの方も多いと思いますが、
はじめに行っておきますと、上海語と中国語普通話はほぼ別の言葉と考えていただいたほうが良いです。
その違いについて詳しく見てみましょう。
上海語と中国語標準語の発音の違い
先ほど上海語と中国語の違いとして「声調」を上げましたが、それだけではありません。
上海語は漢字の読み方が普通話と大きく違うものがたくさんあります。
例えば。。。
「私は日本人です」を中国語で書くと「我是日本人」となります。
漢字は中国語普通話も上海語も変わりません。
ただ、発音が恐ろしく違います。
- 普通話:「wo shi ri ben ren」(うぉーしーりーべんれん)
- 上海語:「go zi zeh,pen,nyin」(んごずさぱにん)
ね、絶望的に全然違うでしょ(笑)
まあ、ひらがなで発音を正しく表現するのには限界はありますが、上海語と普通話がどれだけ違うのかはお判りいただけたと思います。
もはや全く別の言葉もたくさん 上海語と中国語の標準語
上海語と中国語普通話は、発音の大きな差異だけにとどまらず、そもそも全く違う漢字や言い回しもたくさんあります。
例えば、「私たち」を意味する言葉。
- 普通話:我们「wo men」(うぉーめん)
- 上海語:阿拉「a la」(あら)
もう、漢字も発音も何一つかぶってません(笑)
他には、「わかりません」を意味する言葉。
- 普通話:不知道「bu zhi dao」(ぶじだお)
- 上海語:勿晓得「va sho ta」(ヴァショタ)
もはや別の言語と考えたほうが良いかもしれません^^;
まだまだあるのですがあとひとつだけ。「いくらですか?」を意味する言葉。
- 普通話:多少钱?「duo shao qian」(どぅおしゃおちぇん)
- 上海語:幾鈿(じでぃ)
このように上海語と中国語普通話は、日本語の「方言」と「標準語」の感覚からは理解しがたいほど違っていることがお判りいただけたでしょうか。
日本語で言ったら、「津軽弁」と「琉球語」かそれ以上の差異かもしれません。
中国人の上海語に対するイメージは・・?
このようにユニークで特徴的な上海語に対して、上海人は非常にプライドを持っていることは前述しました。
では、上海人以外の中国人は上海語に対してどのようなイメージを持っているのでしょうか。
私の周りの上海以外出身の友達に聞くと・・「発音が汚い」「中国語のなめらかさがない」「うるさい」「嫌い」・・など、ネガティブな意見ばかり^^;
確かに、上海語の発音は一つ一つが短く固い印象があります。
ただ、これは上海語だけのイメージというより、他地方の上海人に対するイメージも大いに含まれている気がします。
というのも、経済的に発展している上海はただでさえ他地方からねたまれやすいのに、上海人もそのプライドから若干地方出身者を見下しているようなフシもあるのですね・・^^;
もちろんすべての人がそうではないですが、結構な割合でそういうケースが見られます。
例えば、電車の中で上海人と地方出身者が喧嘩になったとすると、それがどちらの非であったとしても、上海人には最強の捨て台詞があります。それは
「乡下人!(しゃおにん)」⇒「田舎者が!!」(笑)
このセリフを言われると地方出身者かなり屈辱を感じるようです。当たり前か。
もちろん、これはワンケースに過ぎませんが、大なり小なり上海人に対するわだかまりが、他地方出身者(特に上海に住んでいる人)にはあるようです^^;
実は日本人には覚えやすい?上海語と日本語の共通点
上海語が中国語普通語とずいぶん違うということで、「なんだか難しそう」と感じる方も多いかと思います。
でも、実は上海語は中国語普通話よりも日本人にとって発音しやすく、また覚えやすい言葉でもあるのです。
アクセントはまるで関西弁?!日本人に発音しやすい上海語
私が上海に来たばかりのころ、休日の朝惰眠をむさぼっていると、窓の外からおばちゃんがたちがマシンガンのごとく関西弁トークしているのが聞こえてきました。
その時私は寝ぼけていたため、自分が上海にいることをすっかり忘れていて、
「大阪のおばはん!!うるさいわーーーーー!!!!」
とイライラ。しかしだんだん頭がさえてくるにつれ、
「あれ?ここは上海なのになぜ大阪のおばちゃんがうちの前に?!」
と矛盾を感じたころ、やっとそれが上海語であることに気づきました。
上海語には中国語普通話の中で日本人が最も苦手とする巻き舌の発音がありません。
それに一つ一つの単語の音節が短く、日本語のひらがなのように1文字に対し一音節の発音が多いのです。
なので、パッと聞き日本語っぽい、特に関西弁っぽいんですね。
上海語も日本語もわからない人が聞いたら、同じ言語と思うかもしれません^^;
日本語と上海語は同じルーツを持っている?!
上海語が三国時代の呉の国の言葉を起源としていることは前述しました。
実は日本で使われている漢字も、多くが呉の時代のものが朝鮮半島を通って伝わったものです。
中国語普通語はその後音節変化を繰り返して発音が変わっていったのに対し、日本語や上海語の発音には古い中国語の発音が残っているのですね。
なので、日本語と上海語の漢字の発音が非常に近いものがたくさんあります。
例えば「夜」という漢字。
中国語普通語では「イエ」と発音しますが、上海語では「や」と発音します。
日本語でも「十五夜」など「や」と読ませることもありますよね。
他にもたくさんあります。例えば「二」という漢字。
中国普通語では「あ~(巻き舌)」と発音しますが上海語では「にっ」と発音します。
このように、上海語には日本語の漢字の読み方に近いものがたくさんあるのです。
消えゆく上海語?保護の動きも
このように日本語とも近い部分を持つ上海語ですが、実は上海語話者人口はじわじわと減ってきているのです。
特に若い世代では、リスニングはできても話せない、という人がたくさんいます。
その理由についてみてみましょう。
上海語スピーカーが減ったのは学校教育が原因?
まずは学校教育の側面から見てみましょう。
筆者の主人が小さいころは、学校でも授業で上海語がつかわれることがあったそうです。
またそのような環境なので、友達同士も自然に上海語で話していたそうです。
しかし現在は、学校の授業で使われるのは完全に中国語普通話オンリー。
これは昔に比べて地方から上海に来た人が増えたことや、政府が普通話の普及を進めてきたことがあるようです。
そのため、子供たちは上海人同士であっても中国語普通話で話すことの方が多いようです。
上海語スピーカーが減っている原因には家庭的背景も
上海語スピーカー人口が減っている家庭的な背景としては、親や祖父母が、自分たちで話す時には上海語なのに、子供にはなぜか普通話で話しかける、という不思議な現象があります。
私が上海に来たばかりの20年ほど前には、中高年以上の人の中には中国語普通話が全く話せない「上海語オンリー」の人が多くいました。
しかし現在は祖父母世代でも普通話が話せるひとがほとんどで、子供には日本でいう「幼児語」で話しかけるようなニュアンスで、普通話で話す人が多い気がします。
また、子供には正しい普通話を覚えてほしい、という意識であえて普通話で話している人も多いと思います。
いずれにしても、大人通しはバリバリの上海語を話す人でも、自分の子供や孫と上海語で話す人はあまり見かけません。
そうして子供が学校に上がると、さらに中国語普通話オンリーの世界になってしまい、ますます上海語スピーカーが減っていく、というわけです。
上海語は上海人のソウル!上海語保護の動き
そんな中、少しずつ上海語を保護・普及させようという動きも見られます。
例えば、バスのアナウンスは以前は普通話のみでしたが、最近では普通話の後に上海語の案内も入るようになりました。
また、上海語バリバリの名物おばちゃんが大活躍するバラエティーや、上海語で漫談をする芸人などが人気を博しています。
我が家でも、上海人プライドが人一倍高い主人が息子に英才教育をした結果、息子ゴリゴリ上海語が話せる小学生になりました(笑)
上海で英語は通じる?日本語は??
国際都市上海、英語はどのくらい通じる?
中国一の経済都市上海には世界中からビジネスに旅行に、たくさんの人が訪れます。
そんな上海で英語はどのくらい通じるのでしょうか。
それは訪れる場所によってかなり差があります。
例えば、ある程度のレベルのホテルやレストランでは英語が堪能なスタッフが配置されていることが多く、とくには英語ネイティブの外国人がスタッフとして働いている場合もあります。
しかし庶民的なレストランやお店、市場などではほぼ英語が通じないと思った方がよいでしょう。
ただ、ある市場だけは異常なまでに英語が通じます。
それは・・・「ニセモノ市場」^^;
以前は露店の偽物市場が観光名所として大々的に営業していましたが、ニセモノ大国中国の汚名を晴らすべく政府が一斉に摘発した結果、ビルの地下に場所を移してひっそりと営業しております。
一場という名の通り、1件1件のお店の面積は本当に小さく、2,3畳と言ったところ。
そんな小さなお店で店番をしている普通のおばちゃんが、実は英語バリバリ通じたりするのです(笑)
理由は欧米人のお客さんがたくさん来るから。
よく聞くと文法などは割とめちゃめちゃ^^;
だけど少しでも高く、少しでも多く売るため、ネイティブスピーカーのお客さんと堂々と渡り合っています。
中国語が話せなくても、上海の偽物市場での買い物は英語でOKですよ!
上海で日本語はどのくらい通じる?
上海に住む日本人の数は他の世界中の都市の中で一番多いといわれ、2万人以上の日本人が暮らしています。
そのため、上海には日本人をターゲットにした商売が多数あります。
日本レストランやマッサージ店、はたまたおねーちゃんのいるお店など^^;
そういったお店では日本語が大体通じます。
ただ、そういうお店のスタッフは独学だったり仕事を通じて日本語を習得しているケースが多く、えらくため口だったり、たまにこちらの言っていることが通じてなかったりと完璧なわけではありません。
でもそれもお愛嬌。
だって、日本の中華料理店で働いている日本人で、中国語が話せる人はどれだけいるでしょう。
そう考えると、一生懸命日本語を勉強して日本語のサービスを提供してくれているお店やスタッフの人たちに感謝です!
また、中国では若者を中心に日本カルチャーが受け入れられていて、アニメやドラマから日本語を覚えた若者も多いようです。
筆者も、地下鉄でケータイを見ていたら、日本のサイトだったためか、隣の若い中国人の男の子から「日本人ですか?」と話しかけられて驚いたことがあります。
聞けば、大好きなアニメを見ているうちに自然に日本語を覚えてしまったとか。すごい・・^^;
ただ、見知らぬ中国人から「日本人ですか?」と話しかけられて、ぼったくりレストランに連れていかれたり高価なものを買わされたりという詐欺事件も良く起こっていますので、声をかけられたときには十分注意が必要です。
現地で使えば大うけ間違えなし!覚えておきたい上海語のフレーズ5選
それではここで、上海に来たら使ってみたい上海語のフレーズをご紹介しましょう。
外国人がいきなり上海語を話したら、上海人は驚きと喜びをストレートに表現してくれると思います^^;
まずは基本のあいさつ「こんにちは」
こんにちは!は上海語で「儂好」(のんほー)と言います。
これは、中国語普通話の「你好」(にーはお)とちょっと近いですよね。
上海人と知り合ったら、えがおで「のんほー」と言ってみましょう。
きっとめちゃめちゃ喜んで、一瞬で「自己人」(ずがにん=近しい間柄)認定してくれることでしょう^^
お店でレストランで大活躍「これはなんですか?」
お店で珍しいものを見つけたとき、レストランで料理の名前を知りたいとき、この言葉を知っていれば注文もスムーズに。「これは何ですか?」は上海語で
「箇隻是啥?」(がつぁずさぁ)といいます。
なにか面白いものを見つけたらどんどん使ってみましょう!
これを覚えておけばもしもの時も安心!「トイレはどこですか?」
旅先で普段とは違う生活や食事に胃腸がやられてしまうことはよくあります。突然やってくる恐怖の腹痛・・そんな時にもこの言葉を知っていれば大丈夫!
「トイレはどこですか?」は上海語で
「汏手間勒勒何裏𡍲?」(だそげららありた?)といいます。
もしもの時のために覚えておきましょう!
出会いの縁を大切に!「あなたの名前は何ですか?」
ビジネスでも旅行でも、上海での一期一会を大切にしたいもの。
せっかくの出会えた人には名前を聞いてみましょう。
「あなたの名前は何ですか?」は上海語で
「請問,儂个名字是啥?」(ちんもん、のんぐみんずずさぁ?)といいます。
どんな出会いが待っているかわかりません。覚えておいて損はなし!
ここぞというときには上海語で気持ちを伝えよう!「愛してる」
最後にご紹介する言葉は、頻発は厳禁!(笑)
でも上海で恋に落ちる可能性だって0ではありませんから、いつか訪れるかもしれな甘い瞬間のために覚えておきましょう。
とっておきの一言「愛してる」は上海語で
「我愛儂」(んごえのん)と言います。
ここぞというときのために覚えておきましょう!
ちなみに、上海人旦那の口からは一度もこの言葉を聞いたことがありません(笑)
ビジネスでも旅行でも 上海人との距離をぐっと縮める上海語
魅力あふれる中国最大の都市上海。
魔都と呼ばれるこの街に息づく「上海語」についてご紹介しました。
もし上海にいらっしゃる機会があれば、是非上海語に挑戦してみてください!
片言でも、多少間違っていても、一生懸命上海語で話しかけてくる外国人を、上海人はきっと破顔で暖かく受け入れてくれるでしょう。
垣根をグンと低くしてくれる上海語。あなたも挑戦してみてください!
この記事を書いたのは・・?
海外在住歴がもうすぐ人生の半分を超えるワーママライターです。
小学生の息子との親子留学や、海外サマースクールの体験談、海外教育情報などを発信するブログを運営しています。
世界各地の旅の情報も満載ですので是非ご覧ください↓ ↓ ↓
こどもと一緒に世界で学ぼう!
上海在住。インターに通う息子との親子留学や、海外サマースクールの体験談、海外教育情報などを発信しています。
www.shanghaimorikiyo.com
この記事を読んだあなたにピッタリの上海の情報はコチラです!
長期在住者おすすめ!上海市内のキレイなインスタ映えスポット7選!
今やアジアの最先端都市、上海。 歴史ある外国情緒あふれる街並みや、経済成長を感じる高層ビル群などインスタ映えするスポットが沢山あります!長期滞在者である私が選び抜いた、旅行者に絶対に見て欲しい上海のオススメインスタ映えスポットをご紹介します。
trip-partner.jp