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イタリアの民族衣装を地域・時代・身分別に在住者がご紹介!まるで中世にタイムスリップ!
イタリア在住20年の筆者がイベントなどで見かけた民族衣装を撮りためた写真も合わせて、イタリアの民族衣装の歴史と男女の衣装の違いや特徴をわかりやすく解説します。イタリアという国をもっと知りたい人、古代、中世、ルネッサンス、ベルエポックにタイムスリップしてみましょう。
この記事に登場する専門家
イタリア在住ライター
Edicolante
イタリア全土共通の民族衣装ってあるの?
こんにちは!イタリア在住のEdicolanteです。
今回はイタリアの民族衣装(フォークロア)について書いていきます。
先ず、そもそも民族衣装という定義ですが、地方や民族特有の衣服のことで、流行に左右されにくく庶民の間で着られるものなので、イタリア全土で着られていた民族衣装はないはずです。
と言いうのも、かつてイタリア国内には様々な国があり、イタリアという国が統一されたのは、19世紀のイタリア統一運動が起こり、第一次世界大戦後までの間の近年のことなのです。それまで様々な民族同士の戦争で領土の拡大縮小を続けてきた歴史があるのです。
そのため、地方ごとに独特な文化や歴史、方言があります。
現在のイタリアにも残っている民族衣装文化は、山村に多く見られます。
【イタリア民族衣装の特徴】クラシック・スタイルはシンプル
白のブラウスと黒い大きなスカートを着て、その上から白のエプロンをするのが普段着であった時代が長いと思います。
男女とも、動きやすくて着心地が良い作業着だというのがポイントです。
現在の洋服というのは、ヨーロッパ各地で長年時間をかけ発展したものになります。
上の写真はオリーブオイルのボトルのラベル。
収穫の様子のイラストで昔の服装がわかります。
それではイタリア各地で暮らす人々の、文化的財産である民族衣装の紹介をしていきます。
地域ごとにどんな民族衣装があるのでしょうか?
筆者が旅行中に出会ったイベントでの写真もあわせて見て行きましょう。
①【フィレンツェ】の素朴なイタリア民族衣装と麦藁帽子
上の写真はフィレンツェ近郊の町シーニャの仮装行列で見かけた衣装です。
農業が盛んなトスカーナらしい麦藁帽子が可愛いですね。
お土産物屋さんで見かけたフィレンツェの民族衣装を着たお人形さん。
椅子や籠など麦藁細工が有名ですから麦藁帽子をかぶってますね。
寒い冬の収穫が終わった農家が手作りしていたのだと思います。
こちらはフィレンツェのお祭りの時の衣装です。
仕事によって制服が違うのは今と変わりませんね。
革製品が有名なフィレンツェ、ブーツも今とあまり変化はないですね!
②イタリアの民族衣装で一番有名で可愛い【サルデーニャ島】
イタリアの離島、サルデーニャ島のお祭りの様子です。
頭には純白のヴェール、ドレスの生地はカラフルな花などが刺繍されていり、襟もゴージャスな白いレース、先祖代々の思い出アクセサリーもいっぱいつけて、キラキラ素敵です。
女の子なら憧れる衣装です。
インターネット上のイタリア語で民族衣装と検索すると、サルデーニャの情報がたくさん出てきます。
イタリアの民族衣装はサルデーニャが一番有名なんですね。
イタリア・サルデーニャ島の男性の民族衣装は?男性の独特な帽子
上の写真は1920年頃の男性を撮影した古い写真です。
イタリア本土から離れているだけあって、服飾の文化も独特です!
筆者が気になったのはこの可愛らしい帽子!ベッリータ(Berrita)と呼ぶそうです。
ベレー帽の様ですが形が独特でサルデーニャの男性の民族衣装ですね!
サルデーニャの羊毛で黒いのが特徴です。
1900年代前半まで普段から着用されていたのです。
カーニバルの時期やサルデーニャ南部の聖エフィジオ祭など、年中イベントがあり民族衣装を着ている人に出会うことができます。
それぞれの地方の村から人々が集まり、自慢の民族衣装を着て、アコーディオンとギターを弾いてサルデーニャの特有の歌を歌い踊ります。
残念ながら筆者がサルデーニャ島に行ったときは当日の夜で、お祭りは見れなかったんですが、しばらくは季節の郷土料理など楽しめました。
お祭り期間中はバスなどの交通機関がマヒするので注意が必要です。
私たちは空港で困っていたら、親切なパイロットがホテルまで送ってくれました。
サルデーニャのヌオーロにある【民族衣装博物館】へ行こう!
サルデーニャ島各地方の民族衣装や、家の代々伝わる編み物の展示がありとても面白そうです。
サルデーニャ中部の町、ヌオーロにあります。
民族衣装博物館 Museo del Costume Nuoro
住所 Via Antonio Mereu, 56 ヌオーロ
③北イタリア【チロリアンの民族衣装】オクトーバー・フェスト風
北イタリアの南アルプス地方は第一次世界大戦までは、オーストリア=ハンガリー帝国の領土であったため、現在でもドイツ語を主に話す住民が多いのです。
そのため文化もドイツに似ていて、民族衣装もオクトーバーフェストでパブの店員さんが着ているようなドレスです。
男性の民族衣装も独特で、フェルトの帽子も独特な山型のチロリアン・ハットです。
寒い地方なので、ウールを使った素材が多いですね!
現地でこれが買いたい【ウールのカーディガン Sarner】
筆者が気になったのは、このSarnerというウールのカーディガン!
とっても暖かそうで、シンプルなので着回しできそう。
帽子と一緒に現地の思い出として購入し、ファッションに取り入れるのも良いかもしれません。
④ゴージャス!ミステリアスな【ヴェネチアの貴族の衣装】
北イタリアの水の都ヴェネチアはカーニバル(謝肉祭)で有名な町です。18世紀頃の貴族の衣装を着てマスクで顔を隠して出歩く人が出没します。
ダマスク織やシルク素材の生地に、ブラーノ島のレース編みなどを施した豪華な衣装です。
上の写真の女性が身に着けているゼンダーレ(zendàle)という、顔周りと肩までかかるスカーフはヴェネチア独特なものです。
北イタリアは寒い時期もありますから、男性はカッパと言われるマントも羽織りますし、中世後期の手品師のような帽子もエレガントです。
ウエストを締め付けたコルセットや、ボリュームのあるカツラなどの衣装をレンタルして、ヴェネチアの町歩きをするのはいかがでしょうか?
きっと忘れられない旅の思い出になるでしょう。
⑤ロミオとジュリエットの北イタリアの町【ヴェローナ】
上の写真は1968年の映画『ロミオとジュリエット』のワンシーン。
14世紀のイタリアのヴェローナの町が舞台の対立するふたつの貴族グループ間での恋愛話です。
衣装にも注目して観たいですね!
この頃の衣装は、マニカ・スタッカービレといって、袖が外せるタイプがありました。
カッペッローネと呼ばれるターバンを頭に巻いたような人物の肖像画など、ルネッサンス期の衣装も面白いです。
⑥南イタリア【シチリア】はアラブの影響?
絹や綿の生地のスカートに、とても手の込んだ刺繍が素敵なシチリアの衣装です。ファデッダ(Fadedda)というそうです。
肩にはレースのショールを羽織り、肌寒いときは厚手のものに。作業をするときはエプロンをしていたようです。
男性のマントがかっこよかったシチリアの衣装でした。
それと、やはり筆者は帽子に興味があります。なんとなくアラブのターバンのイメージの帽子です。
昔からアフリカなど外国との貿易が盛んだった影響ですね。
どの時代も外出時には帽子をかぶるのが身だしなみなのでしょう。
シチリアのハンチング帽【コッポラ】
シチリア発祥のハンチング帽子、コッポラは作業用の帽子として、民間人の男性がかぶっていたものです。
シチリアを舞台にした映画でよく見かけ、現在のファッションにも取り入れられるアイテムです。
上の写真は先日、ローマのセレクトショップのウインドウで見かけたものです。
⑦様々な時代のイタリア【ローマ】の人の衣装
ローマ近郊の町の女性の民族衣装は、上の写真のようなベールがかかった横長の帽子をかぶっているのをよく見かけます。
隣の男性のお人形の衣装はヴァチカン市国の衛兵さんで、ミケランジェロがデザインしたものが現在も使用されています。
ローマの民族衣装で調べると、ローマから南のフロシノーネ県のチョチャリーア地方の衣装の情報がでてきます。
なんと第二次世界大戦の頃まで女性が身にまとっていたのです。
上の写真はチョチャリーア料理のお店のショップカードで、下の写真はローマの博物館で見かけた絵画に描かれたチョチャリーアの女性です。
下は同じ頃の1900年初期の女性の衣装ですが、社交界に出るような裕福な女性は流行りに敏感です。ストールも上質な透き通るような薄手の生地。
尖ったつま先の靴をちら見せするのが流行りだったのがわかります。身分や仕事で全然違いますね!
19世紀末から第一次世界大戦頃に流行った、ベルエポックのゴージャスな衣装も素敵です。
【イタリア民族衣装の歴史】古代ローマ人のトーガと中世のブリオー
イタリアの服飾の歴史を、古代ローマ時代に遡って見てみましょう。
ヨーロッパほぼ全土とアフリカ北部を征服していたローマ人ですが、トーガやトゥニカと呼ばれる布を巻いたものを着ていました。
女性は薄い布のワンピースを着ていたようで、中世の頃には絹のチュニック型ワンピースのブリオーと呼ばれるものになったのです。
中世初期の頃の少女の服装も、お洒落で可愛いです。
ネックレス、ブローチ、バック、靴とイタリアのセンスは昔から素晴らしい!
ルネッサンス期の衣装も、帽子やマントなどそれぞれに特徴があり、調べ切れてませんが名前がついてそうです。
同じ町でも、住む貴族の地区同士で競い合い、メインカラーや紋章があったので、そこまで知るとイベントを見るときにもっと面白いでしょうね!
イタリアの町ごとの衣装を観察してみましょう
イタリアの小さな村を旅すると、井戸端会議をしている高齢の女性を見かけたりします。
おしゃべりを楽しみながら手にしているものは編み物です。
昔からこのように女性は自身の衣装を編んだり縫ったりしていたのでしょうね。
上の写真はモリーゼ州のイゼルニア名物のレース編みです。
道具もこんなに大きいのに、細かく編めるものなのですね!
普段着以外にも、ウエディングドレスや、食卓のテーブルクロスにも。
手作りの衣装は、今でもお母さん、おばあちゃんが編んだものを大事に使っていると思いますよ。
いかがでしたでしょうか?イタリアの民族衣装と言っても、地方や時代や身分でかなり違うことが判っていただけましたでしょうか?
これからイタリアに旅行に来られるとき、絵画や博物館、イベント見学時の衣装にも注目をしてみてください。
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